デビルマン 妖鳥シレーヌ編

 漫画版準拠の、ビデオリリースによるアニメ作品シリーズの二作目。

 まず最初に一番の問題点を挙げると、冒頭部に原作のジンメン戦が入っていて、それがそのまま原作のシレーヌ戦とその前後のエピソードにつながっていること。明へのメンタル面への影響が大きいジンメン戦を経ているのに、もうしわけ程度に明が「何か吹っ切れたような気がする」というだけで、その後の展開にほとんどつながっていない。
 むしろ、ジンメン戦がないほうが、話がスムーズになる。あるいは、冒頭部でデビルマンになった直後で心理的に不安定な明がシレーヌに敗北し、その後のジンメン戦を経て精神的に成長し、シレーヌとの再戦を戦うというようにするか。

 しかし、それを補って有り余るのが、戦闘の充実度。
 冒頭のジンメン戦も原作から大きくグレードアップしていますが、後半のシレーヌ戦は、市街戦あり、空中戦あり、超能力戦あり、大爆発ありの充実度。アクションも良く出来ている。
 シレーヌがアモンに恋愛感情を持っていたという原作の後付けエピソードも、わずかに情緒を込めながらアモンの名をつぶやき、戦いの決意を固めるというように、さりげなく盛り込まれています。
 同じ様な事をやろうとしていた実写版とは、比べるのも、おこがましい。

 声優は、シレーヌ榊原良子氏や、ジンメンの青野武氏は、実に適任。
 前作ではデビルマン化した後の迫力に欠けていた速水氏も、今回は、迫力ある演技をしています。そしてラストシーンでシレーヌの立ち往生をモノローグで語る際には、普段の静かな調子に戻って、絶妙な効果をあげています。

評価:70点

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