モンテ・クリスト―巌窟王―

2002年 イギリス・アイルランド合作 131分
監督:ケヴィン・レイノルズ
出演: ジム・カヴィーゼル, ガイ・ピアース, ダグマーラ・ドミンスク, リチャード・ハリス

 先日読了した『モンテ・クリスト伯』の近年の映画版。
 総評は、不満はあるが、さりとて時間やその他の上限を考えるとまず考えつくような事は上手くこなしており、そこからのプラスアルファはかなり難しいともわかる物。
 原作は七巻の長編ですので単純なダイジェスト方式ではニ時間強の尺には絶対納まらない代物。そのためこの映画版は原作の大まかな流れは踏まえた上で、個々のエピソードはほぼ作り直し。手際よくまとまっているとは思います。ただやはり、伯爵をはじめとする登場人物の内面やドラマはやはり、単純化されているなあと物足りなく思えてしまう。特にオチは、原作のエデやマクシミリアンなどに対する擬似父性関係では無く、ストレートな家族関係でハッピーエンドというストレートさ。
 あと、逮捕から獄中生活、脱出までは克明に描かれていますが、やはり尺を考えれば仕方がない事ですが、原作では多くを占めていたパリでの貴族社会での生活模様とかのボリュームは大きく削られており、原作では下手な貴族よりもはるかに貴族らしいと描かれていた伯爵の貴族的な精神や言動も、この映画版では復讐のためのかりそめの姿にすぎないとニュアンスをかえて描写をされている。

モンテ・クリスト-巌窟王- [DVD]

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