デビルマン 誕生編

 1987年製作の、漫画版準拠の、ビデオリリースによるアニメ作品。
 基本的には、原作に準拠した、アクションシーン、クリーチャー描写、ストーリーともにそつの無い作り。不動明の心優しくも芯が強いという性格も、原作を補強する形で上手く描かれています。

 ただ、クリーチャーの表現とかはいかにも80年代アニメ的ながら、絵柄は全体におとなしめで、演出的にも物足りず、デビルマンが書かれた頃の最盛期の永井豪の絵の迫力(今のはすっかりフ抜けている)からすると物足りません。それほど悪くは無いものの。
 特に、デーモンの集団に襲われて、恐怖で理性のたがが飛んだ状態から、デーモンと合体してデビルマンになる原作の名シーンの迫力の無さは、このアニメ版の一番の問題点。このアニメ版のでは、ちょっとデーモンと顔を合せてびっくりしてあたふたしていたら、なんとなくデビルマンになったという、フ抜けさ。
 それと、速水奨氏が声をあてている不動明は、日常シーンでは明の性格を上手く表現できておりいいとは思いますが、高校生にしてはずいぶんふけた感じ。しかし、デビルマンになってからは、品がよすぎて迫力不足。テレビアニメ版の田中亮一氏の方がまだ迫力がある。今の声優でなら、子安武人が適任でしょう。

 それでも、あの実写版の酷さを見たら、大傑作に見えてしまいます。

評価:60点