第二次世界大戦に勝者なし A・C・ウェデマイヤー著/講談社学術文庫

 読んだのは春。
 米軍のウッデイマイヤー将軍(元アメリカ陸軍作戦企画参謀)の回顧録で、著者の立場での、当時の苦労や、「ああすべきだったのに、政治家たちの無理解で」的な批判などを、いろいろと。
 でまあ、チャーチル首相については、指導力や英国的な老練さは評価しつつも、対独にアメリカを引き込みたがっている意図には迷惑感を感じていたり、政治的事情で戦略の足を引っ張ったりと、いい評価をしていない。自国のルーズベルト大統領に対する評価は散々で、ソ連拡大を許しすぎた対ソ政策や、軽率な好戦性などを、多々批判している。
 戦争をよく知らない方には意外かもしれませんが、一般的に思われている「政治家は慎重で軍人は好戦的」とは異なり、「軍事に無知な政治家こそ好戦的で、軍事を知っている軍人の方が慎重である」というケースが少なからぬ割合で存在している。