機動戦士セイバーガンダム(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)第19話

 ツッコミどころの多い戦争論になるとは思いっていましたが、「軍需景気狙いの軍産複合体が悪いんだ」という、安直な主張。まあ、もう一段階か二段階さらに考察を進めた戦争論が今後語られるかも知れませんが、とりあえず今回分だけで批評。
 
 現状の種デス世界では、世界規模の大戦にもならず、”たまたま”大西洋連邦の本拠らしき北米大陸からはなれた地域での、限定的な戦いになっていて、まあ、軍需産業も儲けられるかもしれません。
 しかし、それは”たまたま”シャア議長が、限定的な反撃にとどめてくれたからであって、もし、シャア議長がもっと過激な報復路線ととったり、あるいはシャア議長が失脚して過激派が政権を握って、核やジェネシス、隕石やコロニーを、大西洋連邦や地球全土にぶつけてきたら、その軍需産業とやらはどうしたつもりでしょう。キューバ危機でホワイトハウスが、ソ連ではフルシチョフが失脚して過激派が政権を握ったかもしれないと、推測による危機感を募らせていたのとかは、種デススタッフの頭には無いんだろうなあ。

 軍需産業がどうこういった話にしたいなら、地域規模の紛争や戦争にするとか、あるいは、SF作品でしばしばあるような「限定戦争」にするとか、もっと適切な舞台設定はあります。
 しかし、種デスの場合、「お互い一歩間違えば、一回の全面攻撃で、国ごと壊滅しかねない事が、先の大戦の経過からわかりきっている状況で、その事を全然考えずに、勝つ事とか戦争景気の事しか考えていない」という、無茶苦茶な舞台設定になっている。
 このあたり、軍需作業の問題に限った事ではないですけど、小国一つ相手であるイラクアフガニスタンの戦争を、アメリカ対ソ連のような大国同士の戦争の状況に、考え無しに引き写してしまって、おかしなところだらけになっているか。冷戦時代、アメリカの軍需産業が儲けたさの一心で、ソ連にわざわざ全面戦争を仕掛けるなんて馬鹿な事、していたと思います?

 ちなみに、ホモ臭い描写に関しては、種デスらしい、話の流れとかで見せるのではなく、1シーンの媚び媚び描写だけで見せようという、安直なやりかた。女の子が、お色気アピールしながら主人公に迫ってきて、萌えるどころか、嫌悪感しか感じない、三流萌えアニメみたいです。
 比較対象、グエン御曹司@真性のホモ臭い描写とか、『剣』の相川始@真性のロリコン臭い描写とか。