機動戦士ザク 第9話「驕れる牙」(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)

 登場当初は、老人たちをわざとらしく扇動しつつ、一人になるといら立ちを見せるなど、アズラエルよりはるかに利口そうに見えたジブリール
 ......アズラエルと同レベルのアホでした。ステロの極まりのような「手元で猫をなでる」という仕草が、さらに、アホさを強調。

 先週私が、あるべきなのにないと言っていた、賠償金や犯人引渡し等の要求、その他のリアクション類は今回出てきましたが、それを遥かに上回るアホさ加減を、ジブリールなどが発揮してくれました。
 戦争を仕掛けるにしても、戦闘の規模などをコントロールした上でやるならわかりますけど、いきなり、核を撃ちこむ全面攻撃を仕掛けているバカさ。アズラエルと同じで、相手からの核報復の事は全然考えていない。だいたい、プラントがもっと強気で、プラント到着前に月基地まで積極的に迎撃を仕掛けてきたらどうしたのでしょう。「戦争景気を見込んでいる」という話も出ていますが、核を撃ち合う規模の戦争で、景気向上も何もないでしょう(この番組の製作者は『クリムゾンタイド』の艦長と副長の問答とか見た事がないんでしょうなあ)。
 ”たまたま”シャア議長がプラント水際での専守防衛で事態を収拾しようとしてくれたり、”たまたま”核ミサイル発射を見て現実と同じ様に、即、報復核ミサイルを発射しようとしなかったり、”たまたま”プラント側に核弾頭を無効化できる秘密兵器があったから、そうならずにすみましたけど、ザフトが同程度の報復攻撃を仕掛けてきた場合どうしたのでしょう?
 作中で核攻撃を扱うわりに、現実の、核報復体制とかには、この番組の製作者(主に監督と嫁)は全く無知なんですね。どうしてこの世界には、ミサイル原潜などに相当するような、本国以外の核発射設備がないのでしょうか?

 この番組の製作者、冷戦の核抑止の危険性とかキューバ危機、あるいは911以降のアメリカの対アフガン、対イラク戦争を意識しているのでしょうけど、勘違いも甚だしい。
 過剰核抑止の問題や、キューバ危機の場合、「核の打ち合いで相打ち覚悟でも先制攻撃を仕掛けないと、こちらが一方的にやられる」という恐怖心があってのもの。
 911以降のアメリカの対アフガン、対イラク戦争の場合は、アメリカが国力、軍事力ともに圧倒的に優位で、まかりまちがってもアメリカ本土が戦場になったりはまずないから、余裕をもって攻撃を仕掛けている。

 ジブリールの戦争を煽る策謀とかを「利口に」やらせたいなら、小規模な戦争や、テロなどなどを操るようにした方がずっと効果的。
 「余裕をぶちかまして」「共倒れの危険の大きい事が容易に想像できる核戦争を仕掛ける」という、ジブリールたちのおつむは、いったいどういう思考形態?
 まあ、今回の戦闘の展開から、逆算して話を作っていて、他の展開の可能性についてはまるで考えが及ばないという、脚本を書く上での初歩的なミスをやらかしているのでしょうけど。

 それに、これ、一年シリーズでしたよね?「ユニウス条約」とか「NJキャンセラーが禁止だから、MSはバッテリーや無線送電」が1クールもたたないうちに無意味になるなんて、どういうシリーズ構成?そもそも、ガンダムの無線送電システム、一回も使っていなかったような。
 ここまでやる以上、当然、これから後は、核エンジンバックパックを積んで、核ミサイルランチャーを持っただザクやダガーがたくさん出てくるんでしょうね。
 さあ、普通の作品なら話の積み重ねを経た上で中盤か後半にやるような展開を序盤にいきなりやって、これであと3クール以上、どう話を作ります?


 シャア議長がラクス二号で陰謀を企んでいるような様子を見せて、利口そうに見せようとしても、製作者自身(主に監督と嫁)がこういう話を描くための教養も知性も著しく欠いているため、しらけるばかり。

 この番組の製作者(主に監督と嫁)は戦争などを扱ったフィクション、ノンフィクション名作を100本ぐらい見て、勉強しなおしたほうがいいです。もっとも、学習能力がないと、どんなに数を見ても無意味ですけど。






 あと、百人中百一人が指摘しそうですけど、さらにアスラン主役状態が加速。シンはもはや「レギュラー背景キャラS君」。