機動戦士Ζガンダム 第6話 地球圏へ

年上の女性

 今回のみどころは、エマ、レコア、ライラの、カミーユやジェリドからみた「年上の女性」の描写。こういうのは、富野監督の十八番。

 レコアやエマに構ってほしい半分、そういう自分を否定するのが半分という、少年らしいカミーユ。野心のために屈辱に耐えライラに教えを請うジェリド。どちらも若造なんですな。

出戻りのジェリド中尉

 嗚呼、第六話にして落ちぶれ宣言をされてしまったジェリド。

アーガマのブリッジ

 意識して90年代以降の富野監督作品の『機動戦士Vガンダム』や『ターンエーガンダム』の宇宙艦ブリッジと見比べてみると、直前に写っていた居住ブロックのような擬似重力がないにも関わらず、重力があるかのような描写。
 このあたり、やはり80年代作品という気はします。特に『ターンエー』はまだしも、『V』は作画予算などかなり苦しかったにも関わらず、それでも根性を入れて無重力描写をしていました。

MS格納庫

 放送開始時からアナウンスされていた、中盤以降登場の真打ち主役機「Zガンダム」の布石をとりあえず。
 あと、細かい点では、さりげなく、赤リック・ディアスの残骸の回収が忙しく、部品用のmk2の解体が遅れている事を述べ、後半にカミーユが乗り込む事の伏線にしてあります。
 あと、技師のアストナージがカミーユを「ニュータイプ」と言っているなど、アーガマのクルーがカミーユに期待しているのは基本的に「戦力」であって、彼のナイーブな心情とか、あるいは前作で言われた「ニュータイプは戦いの道具ではない」というのは二の次というのが、一貫して何気なく描写されています。このあたり、『V』の序盤ではドラマ的により強調されています。

エマとレコアの会話

 年上の女性というのでは共通でも、優等生的なエマと、比較的感情的なレコアの違いがここでは特によく出ています。
 それを監視するブレックスとヘンケン。ここだけ見ると完全に、悪の組織のスカウトマンですなあ。そういう立場に置かれているのを、理解しているエマも、優等生的。
 しかし、今回もカミーユに立ち聞きされていますが、司令部レベルの話がしょっちゅう立ち聞きされると言うのも、ずいぶん杜撰な防諜。

白いガンダムmk2

 白く塗りなおされたガンダムmk2。この、白に近いライトグレーと、ダークブルーを主体にしたカラーリングは、歴代ガンダムでもかなりセンスがいいです。
 この白いmk2に始めて乗るのはシャア。シャアが、初代ガンダムのイメージに近いガンダムの乗るというのも、結構インパクトが強いですが、この時点では視聴者的にも作中的にも、カミーユはまだ、完全な状態のガンダムを任せられない新米という事ですか。

大気圏突入カプセル射出

 これを見ていてふと気が付いたのですが、登場人物同士がうだうだ話しているのが延々続くといわれるΖも、実は各話ごとに、直接的なMS戦闘以外にも、こういうところとか、あるいは生身での行動とか(たとえば、第三話のティターンズ艦からの脱出とか)で、各話完結で盛り上げる活劇的要素をきっちり盛り込んでいる。
 このあたり、やはり富野監督はやはり、エンタティーナー。