神武天皇以来途切れるた事の無かった血統?

 近頃、女系天皇問題が言われています。
 私はさほど興味は無かったし、保守的な方なので「まあ、守れるなら、伝統通りに行った方がいいのではないの」と思っていたのですが、いくつか女系天皇反対の主張を見て気になる事がありました。

 「代々の伝統だから」というのはいいです。しかし、「神武天皇以来途切れるた事の無かった血統だから」というのを根拠にしているのが多いのには、大きな疑問符がついてしまいます。
 というのも、神話でなく学問としての研究では、神武天皇等の初期の天皇の実在は怪しい上に、古代では先代の血統が絶えて交代している事もあった可能性が高いとされているからです。代表例は水野祐氏の「三王朝交替説」。
 しかし、私が見た範囲にすぎないのですが、女系天皇反対論はどれも、一度も血統が途切れた事が無いのが確実である事を前提に主張している。初期天皇非実在説や王朝断絶説にきっちり反論した上での主張も(私が見た範囲にすぎませんが)見当たらない。

 戦前ならいざ知らず、戦後六十年の現在の政治的問題で、神話は神話で歴史は歴史と区別をつけずに、神話的な事を確実な歴史的事実の如く根拠にする主張がまかり通っている。なんだかなあ。