キング・コング

 先週見に行っていましたが今ごろ感想。
 まず感心したのが舞台をオリジナルの上映時期と同じ1930年代にして一種の歴史物にした事。たしかに昔の映画だとあの時代でないと成立しにくい部分が色々ありますので、オリジナルを尊重するならこれでいい。
 そして音楽に乗せて、不況とエネルギッシュさが入り混じった当時の世相を見事に表現した導入部。これを見てつい思った事「『砂の器』?」。確かにこれは皆誉めて当然の卓抜さ。こういう背景が無いと危険を冒して髑髏島に行こうという動機付けが薄くなる。
 そしてコングの扱い。コングは「気が優しくて可哀想な動物」ではなく「髑髏島に君臨する孤高の悪漢」として描かれている。そしてその悪漢がヒロインに心を許し、ヒロインも悪漢に心を許す。それが「美が野獣を殺したのだ」に流れていく。
評価:85点