ゾイド ジェネシス 第37話 「襲来」

勝手タイトル:「戦いは数だよ」「圧倒的じゃないか、我が軍は」
 今まで「この世界ではゾイドの新規製造技術は、味方側には失われていて、敵味方ともに飛行型は稀少」という制限を設けておいた上で、今回ついにディガルド側の量産型飛行ゾイド・バイオラプターグイが、ランチェスターの法則の模範的実行のような大群による無差別爆撃にきてピンチ。
 ロボットアニメで凄惨な爆撃を描いたのは、『軌道戦士Vガンダム』のゾロの爆撃以来か。
 さらに、ディガルド側の飛行型の量産が、ソラノヒトとの協定に違反していて、敵側でもその事で軋轢が発生していたり。ここまで存在感の大きい雑兵メカは『新機動戦記ガンダムW』のモビルドールMS以来か。
 そんな危機をどうやって乗り越えるのか、これから飛行型を多数そろえた勢力が参加して挽回するのかと予想していたら......「相手の航続距離を見切って、出撃基地を叩く」という作戦立案。凄い。
 この危機の中でもルージ、敵の武器搭載料や航続距離に限界がある事を見切って(この作品で飛行型が燃料食いというのはレインボージャークで度々描写済み)、そこから敵の出撃基地を割り出して、攻撃計画を立てる。ああ、もう沖田艦長並の戦術家ぶり。しかしミィ様の命令には逆らえない。
 その後で、記憶喪失のたソウタに対する、一般人の怒りの爆発が描かれる。
 ルージがディガルドへの怒りに燃える群衆を静めたのは、模範的な雄弁術。

  1. 信用度の高い人物が呼びかける(ルージ)
  2. 相手が想像やすい事例を挙げる(あなたたちと同じようにな被占領民が強制徴発されている)
  3. 相手の感情に訴えやすい具体的な物を見せる(憔悴しきった、か細い少年)

 しかし、ソウタはどうやって助かったのだか。ただ単に助かっただけなら、コクピット周辺の生存性が高かったで済みますが、ズーリ内で単独で囲まれた状況で撃破されたのに、その直後にルージたちに発見されなかったのは不思議。
 まあとにかく、ルージの完璧超人化や、疑惑のあったロンの立場の安定、その他主人公側勢力が安定してしまった状態だったので、こういう新たな異分子の追加はドラマ展開的に望ましい。
 しかし、あのルックスで「銀ちゃん」といわれると、ローゼンメイデン水銀燈を連想するんですが。
 あとラ・カン株は、地道ながら、バイオラプターグイの落とす爆弾のごとく効果が止まらず。
 戦略戦術はルージに持っていかれ、冷徹な意見はロンに持っていかれ、残っていた年長者としての意見すらダンブルに持っていかれた。
 今回のマジシャイン・ヒカル先生のごとく、考えすぎての消極性を一度鍛えなおしてもらった方がいいような。