機動戦士フリーダムガンダム (機動戦士ガンダムSEED DESTINY)PHASE-48「新世界へ」

 デスティニープラン、人類総遺伝子調整計画と思っている方が多かったようですが、やはり、「遺伝子を検査して適正を完璧に把握して社会的地位を決める」という、遺伝子操作よりもさらに非現実的な代物。
 遺伝子と同等以上に重要な、後天的な環境要因をまるで考慮していないのですから。いつの時代の漫画の設定?ひょっとしたら「完璧な教育プログラムとセット」ぐらい描写されるかと思ったんですが、そんなことも全然無い。
 だいたい、適正や進路が事前にはっきりしていたら、人類みんな満足して平和になるって......そんなわけないでしょう。高い地位にしても低い地位にしても、能力的には適当なのに、不満があったり、ドロップアウトしたりというのは、現実、フィクションともに、あたりまえにあることなのですけど。

 しかし、作中の登場人物たちは、基本的な遺伝子に関する知識や、社会的地位に観する人間心理の知識があるだけで、問題点を山ほど出せる、お粗末なプランなのに、誰もしない。それどころか、キラ一党すら、「議長のやり方なら世界は平和になる」事は認めてしまっている始末。

 それに遺伝子操作反対の風潮が強力な世界のはずだったのに、「議長は信用ありますから」で、ロクな反対が無いのも酷いなあ。
 ああ、そうか、後二話で終わらせるために、キラ一党のみVSザフトという図式にして、議長一人を倒してそれで解決というようにするためか。それにしても酷いなあ*1

 それにしても、人の適正を皆が満足できるほど詳細に検査できるほどの、遺伝子技術があるのに、コーディネーターが、遺伝子調整のバクである自分たちの出生率低下問題を取り除けないというのは、物凄く矛盾しているんですけど......。
 というか、前作以来、初期の赤服四人組を筆頭に、「コーディネーターの軍人教育はどうなっているんだ?」と疑問満載の作品内容で、そのコーデイネーターが、「社会の役割分担を完璧にして平和にできます」といっても、全然説得力が無いのがなんとも。
 議長直属の、能力も行動も、クローントルーパーのごとく完璧な、遺伝子エリート部隊とか、一回でも出ていればまだマシだったでしょうけど、実際には、議長直属の暗殺部隊はマヌケばかり。

 ノベライズとか書く人、フォロー大変だろうなあ。

 ああ、今回を含めたここしばらくの、レイのシンに対するの、友情と利用、双方の要素を持つ振る舞いと、そこから締め出されるルナマリアというのは、なかなかよかったです。
 やはり、キラ一党は、物語の癌でしかないよなあ。

*1:日本史で言えば、徳川家康が豊臣の筆頭大名として謀反人を討伐という巧妙な名目で、関ヶ原に勝って、その後たった一月で江戸幕府設立宣言をして、無茶な武力行使までするのに、なぜか諸大名はそれにまるで反対しない。しかも、真田幸村が真田軍と十勇士だけで江戸に殴り込みをかけたら、なぜか家康を倒せてしまう。というぐらい無茶苦茶な展開。