機動戦士フリーダムガンダム(機動戦士ガンダムSEED DESTINY) PHASE44 二人のラクス

 はじめに、100%予想通りの内容だったデスティニープランについて。
 議長、人間の人格や能力等の適正なんて、スタートレック世界の各宇宙人種ぐらい差が無いと、遺伝子よりも後天的な経験の影響の方が遥かに大きいので、遺伝子を基準にしても、全然、秩序だって管理された社会にならないのですけど。
 作中世界での実現性も、「別に圧倒的に強い覇権国でも無いし、その政策を強力に支持する世論があるわけでも無いし、議長の地位自体も市民や評議会の支持で成立しているに過ぎない現状で、どうやって実現するのか?」とツッコミどころだらけ。
 漫画版『仮面ライダー』の「十月計画」みたいに、お買い得家電品に見せかけて日本中に広めた洗脳電波発信機を使うとか、『強蝕装甲ガイバー』の世界征服後のクロノスのように、身体改造を、利益のみを協調して自発的に受けさせるようにして、改造時に服従命令コードを仕込んでいくとかしないと、実現は無理そうなのですが。

 だいたい、これまでの話で描かれてきた、「議長の管理思想の実例」って、以前述べたように、ごく常識的なものにしか見えないのも、なんだかなあ。
http://d.hatena.ne.jp/utumi_k/20050806
http://d.hatena.ne.jp/utumi_k/20050702
http://d.hatena.ne.jp/utumi_k/20050625
 おまけに、デスティニープランの概念にもとづいた人事の実例も、かろうじてレイが該当しそうなぐらいで後は皆無。特にシンなんて性格的には酷く不適当なのを、議長の話術で丸め込んでいるだけにしか見えないんのですが。

 なんというか、製作者自身、凄くいいかげんに考えたような気がします。
 

 ほぼ予想通りの展開での破綻ぶりですけが、それでも、なんだかなあ。

 以前、他所の指摘*1を見て以来、気がついたことなのですが、キラ一党、これまでも今回も、ジブリールとロゴスが弁解の余地が無いほど、戦争を積極的に煽って、民間人大量虐殺を何度も実行&未遂していることについては、プラント側などと一まとめにして漠然と「戦いあうのはいけない」と言えばまだマシなほうで、ほとんど言及しない(デストロイのベルリン大虐殺のときですら)。
 そのくせ、現在のところは、まともに戦争のルールをまもって、まともな政治をしている、議長は、今回を含めて、めったやたら批判し、危険視。
 今回のなんて、例えていえば、『Ζガンダム』で、ティターンズコロニーレーザーで、一般スペースコロニーを破壊したのを見て、漠然と「戦争はいけない」としかいわずに、アナハイムエレクトロニクスへの批判や危惧の表明の方を熱心にするという、頓珍漢さ。

 結局、相変わらずの電波集団なキラ一党よりも、真面目に自分たちの不手際を反省するミネルバ隊一同や、プラントを守るイザークディアッカーに素直に納得と感情移入ができてしまう始末。
 シンが、ジブリールを逃した原因として、キラ一党の大活躍を回想するのは、事実に即したギャグですなあ。