機動戦士ガンダムフリーダム(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)

 先週からの、アスランとキラの論戦(というほど上等のものではないですが)の続きですが、アスランがほぼ一方的に論破状態。なのに、「アスランは間違っている」みたいな、見せ方。
 今回に限った事では無いですが、種デス、安易な現実への迎合 と 苦しい理想の追及の対立というのを描こうとしているのはわかるのですが、全然上手くいっていない。
 なぜなら、理想追求派(カガリ、キラなど)は、具体的な目標理念も具体的な行動指針もないまま「具体的な反論は出来ないけど、とにかく駄目だ」しか言わず、挙句に、どうしょうもなく場当たり的な実力行使しかやっていない。
 これが、そういう問題のある登場人物を意図的に描こうとしているならまだしも、種デスの場合、製作者自身が、愚かなで、目標理念も具体的な行動指針も設定できていない。さらにいえば、理想派に、目標達成のためにあえて手を汚させるような事からもひたすら逃げているので、さらに、その言動に具体性がなくなる始末。
ちゃんとした作劇の例

  • ドナン・カシム「人類全体の平和のためにやもえないので、デロイア植民地には、地球に従属した立場のままでいてもらう」 VS サマリン博士「戦争は不幸なことだが、やはりデロイアの自由を奪われるのは許せない。デロイア人にも独立の機運が高まっている」(太陽の牙ダグラム
  • フィル「我々には地球を圧倒できる軍事力があります。また入植が滞っていてトラブルも多々おこっています。軍事力を使った強引な方法ででも、入植を推し進めるべきです」 VS ディアナ/キエル「軍事力に頼った強攻策は双方にとって不幸な事になります。あくまで根気よく交渉によっ得入植を地球側に認めてもらうべきです。グエン卿のような交渉に積極的な相手もいます」(ターンエーガンダム

 しかし種デスの場合、理想派側があまりにも不甲斐ないので、ユウナ程度の二流の自国保身策でも、作中世界では相対的に、物凄い正論に見えてしまうし、デュランダル議長にいたっては「この人に、さっさとラクスを殺してもらって、世界征服してもらえば、この世界はすんなり平和になるんじゃないの?」と思えてしまう。