名探偵ポワロとマープル スリーピングマーダー その2
この番組としては上の部類ですが、原作と比べると、ずいぶん面白みがへっています。
原作の面白味は、主人公のグエンダが、マープルに、過去の事件を掘り起こすと、見るべきでなかった物を見出してしまうかもしれないと忠告を受けても、過去の事件を調べて、父の殺人疑惑を見つけ出してしまう点。そして、他人の策略の可能性も考えながら、父の犯行である可能性も有力で、怯えつつも、捜査を止められない緊張感。
ところがこのアニメ版、登場人物の皆が皆「お父さんは殺していません」という事ばかり強調するので、父の殺人疑惑という緊張感が希薄になっている。そもそも、原作で緊張感を演出していたマープルの忠告自体、無くなっていますし。
さらに、推理をする主体が、事件の当事者であるグエンダだった原作から、メイベルになっているので、原作の面白みであった「父の殺人疑惑を、晴らすとの深めるのが背中合わせの状態で、苦悩しながらも、推理と捜査を進める、事件の当事者グレンダ」という面白味も希薄になっている。この話、メイベルがでしゃばっているのが、邪魔。それに、別人陰謀説を素直に信じるグレンダの描写もどうかと。あくまでも、父犯人説と別人陰謀説を等しく天秤にかけていないと。
- 作者: アガサ・クリスティー,綾川梓
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/11/18
- メディア: 文庫
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