機動戦士セイバーガンダム(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)

 今回の一番のみどころ。イボルヴの「シャアvsクワトロ」のCM。

 まあ、カガリの婚約相手の憎ったらしさはこれまで表現されてきたので、「性悪な婚約者から、お姫様を救い出した」という感情的な爽快感は確かにありました。フリーダムの結婚式場襲撃と不本意な花嫁救出という映像的な格好よさも、よかったです。
 しかし、そうする行動の、論理的で明確な裏付けが無く、「オーブから逃げ出すのに、なぜ、カガリも連れて行かないといけないのですか?」「どうしてオーブの国内安定のための結婚式をぶち壊さないといけないのですか?」「そもそも、アークエンジェルの皆さん、オーブ政府に具体的に抑圧されていたわけではないでしょう。むしろオーブ政府が放置状態にしてくれたほうが不思議極まりない」「アークエンジェルは国外脱出してこれからどうするのですか?」「アークエンジェルの今回の行動が、具体的に、オーブや世界全体の状況の改善に、どのように寄与するのですか?」「どうして、アークエンジェルを包囲していた艦隊の隊長は、アークエンジェルを見逃してくれたのですか?」
 結局、正義扱いされている側の行動原理が、「なんとなくムカツクから、やりました」以上の動機付けが無く、カガリの婚約者側の問題点も「ムカツク奴」以上の物が無いため(*)、バカになって映像の刺激を楽しむ以上の事はできない、駄目作劇になっています。この世界だときっと、カミーユ・ビダンやカツ・コバヤシも、修正を食らういことなく、ちやほやされる事でしょう。

 前作では、「飛べもしないし泳げもしない」と言われたストライクガンダムが、二話後には、何の説明もなしに、立派に長時間泳げて人探しをしていましたが、ついにはアークエンジェルも、いつの間にか潜れるようになっていましたとさ。

 相変わらず、シンとインパルスの出番が無いばかりか、今回のフリーダムの結婚式場襲撃という非常に格好いい見せ場のおかげで、物語内の存在感が、どんどん薄くなるばかり。

 ところで、キラのママ(義母)は出ていましたが......パパはどうした?

*:彼の連合への同盟路線も、プラントが勝つ場合の事とか、国内のコーディネーター国民の事はどうするのかといった疑問はありますが、犬みたいに吼えて言い返しては論破されて黙り込むしか能のないカガリよりは、遥かにまともですし。そもそも、視聴者視点では色々と考え付く連合加担政策の具体的な問題点、作中世界では、カガリを筆頭に、なぜか誰も言及していないのですから