スターシップ・オペレーターズ 第2話

 録画していたのを見ました。

 現場ですら、常に図式化されたモニター越しで、戦闘による高揚感は皆無で、それでもやはり人は死ぬという演出意図はわからなくもないのですが、敵の特徴的な武器ですら、ロングの視点で光線二つがぶつかるシーンだけがほぼ唯一の描写とか、なんとなく突撃していて主砲をぶっ放したら勝ちました(整備班がアホな事をしていなければ、多分、表面装甲一枚損傷しただけ)という、ピンチも作戦も機転もへったくれも無い戦い方とか、敵方の事情が描かれないためにせっかく二隻いたのにわざわざ一騎打ちを挑んでくる敵艦がアホにしか見えないとかいった物を見せられると、演出意図がから回りしている、ただ単に主人公側内輪の状況説明だけで進行する、下の下(555の空飛ぶ社長 )な代物でしかありませんでした。

 そもそも、根本的に、徹底抗戦する動機がまるで希薄なのが、徹底して祟っている。
 今回、敵の無残な死に方を音で聞いたり、味方に死人が出たりしたのに、シノンが少々涙を流すぐらいで、わずかなショックしか受けていないのが、人間描写としておかしすぎる。
 今までの描写を見ると、ほとんどのクルーは死人が出ても、覚悟が揺るがないほどの動機や背景あるようには、とても見えない。かといって、軽い気持ちで徹底抗戦路線をしていたとしたら、もっとショックを受けていてしかるべきですし。
 その戦死者も、修理を急ぐ必要が無いものを、敵の弾が飛んでくるのが容易に予想できる戦闘中の船外で続けて、案の定被弾に巻きこまれて戦死という、無理やりな殺し方(これ、原作には無い話だそうで)。だいたい、たった30人で宇宙戦艦(設定では300m)を運用しようとするのなら、修理とかの作業の大半は自動行動/遠隔操作ロボットにさせるんじゃないですか?(*)
 もともとの動機が希薄で、今からでも大急ぎで補強する必要があるのに、それを完全に投げて、次の段階の「実は黒幕がいます」という話をしだす。
 こういうのは、ひっくり返す元が確立されていてこそ、「実は」とやる効果があるのであって、元が確立されていないにやっても、駄目な物がますます駄目になるだけ。

 戦場の人間描写としては、種すら、ぶっちぎりで下回っています。

 銀河ネットワークは相変わらずプロデューサーとレポーターしか描かれず、具体的な規模とかは説明でも感覚でも、原作で説明されているらしき規模をまるで感じさせないし、敵の王国とか、自国とか、人類世界全体とかいった背景世界やそこにいる人間情報も、相変わらず希薄。
 全く、『キングゲイナー』や『∀ガンダム』の導入編の出来がいかによかったか、あらためてよくわかりました。

 科学/SF描写も、いいかげん。
 前総理が乗り込むシーン。無重量状態を表現しようと、その場にいる皆が宙を漂っているのですが、身体を固定していないのに、宙に浮いて静止したままという、お間抜けなシーン。それなら、固定靴とか、手すりとかで、静止していてもおかしくない方法にすればいいのに。
 敵艦を破壊した時に”音”が聞こえるという描写も酷い。戦場は真空の宇宙で(だから銀河ネットワークがが効果音をつけるなんて事もしている)、しかも、物凄く距離が開いているのでしょう?
 回避行動でアマテラスがターンした際、船外作業をしている補給班はまるで動いていませんでしたが、前回同じ事をしたときには、船内の者が壁に打ち付けられていましたけど。この世界には慣性制御があるの?無いの?


(*):書き上げた後で「スターシップ・オペレーターズ」擁護集をみると、あの修理をしないと防御兵器の「カスミ」「イカスミ」を発射できなかったから、とのこと。しかしその割には、そのリスクを気にしている様子が、アマテラスの乗組員たちに「全く」見当たらなかったのですけど。てっきり、故障しているところ以外にも、射出口があると思っていたのですが。
 また、「カスミ」「イカスミ」の機能も、なんとなく盾になるとわかるだけで(それすら不注意な視聴者にはわかってもらえるかどうか怪しい)、それ以上の機能や性質については不明確。
 とことん、駄目な代物ですね、このアニメ版『スターシック・オペレーターズ』は。