機動戦士Ζガンダム 第8話 月の裏側

冒頭のカミーユとエマの会話

 幾度も繰り返されている、難しい年頃のカミーユと、「お姉さん」エマの会話。
 エマが以前会った青年がアムロと悟る理由が、「宇宙の心が教えてくれる」式あのは、やはりいただけません。
 しかしながら、そこからさらに「貴方はシャアに会っていますよ」と、もう一段階の話の転換と驚きにつなげるのは、上手い。

月面のガンダムmk2ガルバルディβ

 カミーユよりずっと素直な復讐心に燃える、ジェリドが、ライラへの手向け的にガルバルディβに乗って、アーガマを追跡し、カミーユのmk2と交戦。
 しかし、月面すれすれを飛んでいるところで、土煙が「もやもやと」たっていますが、これは科学的に間違いなんですな。月は真空なので、月面の土や砂は大気を漂わず、きれいな放物線を描いて落ちてしまう。しかも、軌跡上に巻き上げられる土煙という描写、MSの動きを伝播する大気がないと、ありえない現象。
 まあ、いささか細かすぎる指摘ではありますが。

 とはいえ、月面の1/6重力という、中途半端な重力負荷を念頭においた、飛行でも歩行でもなく、地面すれすれをホバーリング移動する、スケートやスキーのような戦闘は、見ごたえがあります。

 あと、今回も繰り広げられる、戦闘中の問答。
 しばしば、この手の描写は、「無線通信もしていないのに会話している」という揶揄のねたになっていますが、『Ζ』の今のところの描写を見ている分には、無線通信が通じている描写があっあったり、密着して接触通信(機体の振動で直接音波を伝える通信)が成立していたりしています。

スクラップ置き場での白兵戦

 シャアの視点で、アクシズの伏線披露や、ウォンたち出資者との今後の方針の会議など、戦略視点の話をしつつ、主人公カミーユと、ティターンズからの転向者のエマを中心にした、ティターンズ兵相手の、スクラップ置き場での白兵戦。
 このあたり、「政治や戦略規模の話をやりだすと、途端に、戦闘や主人公視点の活躍がなくなる」とよく言われる、種や種デスより、ずっと上手い。