機動戦士Ζガンダム 第四話『エマの脱走』

カミーユ暴走

 母を殺され、カミーユ狂乱。
 それに引っ張られて、エウーゴティターンズカミーユを中心に行動しだし、エウーゴはmk2の返還を一気に決めてしまう始末。

 カミーユ母の死の直後の戦闘は、エウーゴリックディアスティターンズハイザック、ルナー2部隊のガルバルディβ、エウーゴに保護されているカミーユのmk2三号機、ティターンズながらエウーゴにシンパシーを感じているエマのmk2二号機が入り乱れている、敵味方が明確に分かれての戦争状態ではない『Ζ』ならではの、非常にややこしい状況。
 しかし、この戦闘シーンがそれほどややこしく見えないのも、狂乱するカミーユのmk2三号と、それに襲いかかられるジェリドのハイザックが中心になっているから。

 ストーリーの牽引力がすごいよ、暴走少年カミーユ

ジェリド対カミーユ ライラ対シャア

 この戦闘に限らず、ベテランのシャアやライラは洗練された動きや攻撃をし、スポーツ用MSの経験しかないカミーユや実戦経験の乏しいジェリドの動きは拙いことが、映像でしっかりわかります。
 そういえば、初代、ZZ、Vともに、最初の数話ぐらいは、経験の無い主人公は荒っぽい操縦をしていました。逆に、ターンエーのロランは、調査員としてMS訓練も受けていたような描写を巧みに出しつつ、最初から上手く操縦。
 このあたり、『SEED』の初期話の、実戦どころかMSの操縦経験すらは無いプログラマーなのに、訓練されたMSパイロットと同じような動きをして、あまつさえザフトの四人組に袋叩きにされてもいい勝負をしてしまう、キラとストライクの動きとは大違いで。

母の死のその後

 認識するべき現実をまともに理解できず、技術と愛人の事にしか頭が回らず、馬鹿っぷりに拍車をかけるカミーユ父。
 こう書き出してみると、この二人、現実認識能力も自我も明確なエマとの対比になっているのですか。
 「悪かった」の一言も言えず居直るジェリドもジェリドながら、ジェリドは命令に従っただけと認めながらも、さらにそれをネタに嫌味を言い返すカミーユ

汚名挽回

 今で言えば「オンドゥルルラギッタンディスカー!!」のような笑撃を視聴者に与えてくれたジェリドの珍台詞。正しくは「汚名返上」もしくは「名誉挽回」。
 しかもジェリド、この後汚名を重ねまくるのが、さらに笑いを誘ってくれます。

アレキサンドリア脱出

 カミーユに「子供じゃありません」と言われたエマ。そのカミーユを、ほとんど狂犬のごとく、カクリコンたちにけしかけて、空手でボコボコにさせる。エマも、カミーユの使い方をそこそこ心得たようで。
 さらにこのシーン、単なる脱出のための手段としてだけでなく、半ば八つ当たりに近いカミーユの心情も表現。
 このシーンに限らず、『SEED』『SEEDデス』などの凡庸な作品と比べると、富野演出、作劇というのは、一つのシーンで複数の要素、複雑な心情を巧みに描き出す事が、あらためてわかります。