江戸の朝風 (1960年/片岡千恵蔵主演)

 テレビ放送を録画していた、片岡千恵蔵主演の『江戸の朝風』を観賞。
 開始前と終了後に解説の人が「いさかかご都合主義な展開ですが」と、ものすごく苦しげにいっていたのですが、本当にものすごいご都合主義展開。
 死んだ仲間三人と主人公自身の、合計四人分の、お互い何の関係もない肉親や婚約者、敵などを探さなければならない。それなのに、ヒロインの百発百中の占い師という特技を考慮してすらありえない、ぷよぷよの大連鎖のごとき芋づる式に、目当ての者が見つかっていき、しかも悪事をことごとく懲らしめる結果になるという、物凄さ。

 まず仲間Aの妹を探していて、占い師を尋ね、その占い師の助言どおりに行動していたら、「たまたま」その占い師がAの妹だった。
 次に、占いを元に、仲間Bの婚約者を探して小田原に向かったら、その道中で助けた男から密書を託され、少し先に進んだら「たまたま」宿に受け取り先の娘が、護衛していたサブキャラの若武者と一緒にとまっていて、さらにそれが「たまたま」仲間Bの婚約者だった。

 まあ、ここまでなら、占いの導きで出会えたと考えられますが、この先の芋づる式の展開が凄い。

 さらに、婚約者や若武者の藩では陰謀が進行中で、その藩の悪家老が「たまたま」他所から仕官してきた主人公の仇だった。さらに若武者の正体は「たまたま」仲間Cの息子だった。
 かくして目的の相手には全て会えて、悪も成敗できて、めでたしめでたし。

 ここまで芋づる式に「たまたま」目当ての相手全員に会えるなんて、ありえなーい。

 とはいえ実のところ、芋づる式に次々出てくる展開は、それはそれで面白かったです。