マクロスゼロ

 最終話『鳥の人』

 一言感想。『Gガンダム』最終回。ただし、ドラマ的盛り上げが全然足りない。
 空戦やその他映像、そしてデストロイドモンスターは大変すばらしいです。
 しかし、とどのつまりは、主人公シンが悪い魔法使いに捕らわれたお姫様サラを助けに行き、主人公に好意を持つ年下のお姫様が身を引いて二人を助けてあげるという話なのに、シンとサラの関係が「近代文明と自然環境の問題についての討論」と「命が危ないから、助けて、一緒に延々逃げまわっていました」だけで、関係の深さをあまり感じられません。
 シリーズ通して、島の生活がどうこうという、理念的な事ばかりが強調されて、「人間関係の展開や波乱」が上手く描けていない。そういう問題がものすごく極端だった『地球少女アルジュナ』ほど深刻ではないものの、河森正治監督の病気が、今作でも出ています。
 何をどう改善すべきかは、『Gガンダム』の後半から終盤がいいお手本になります。

 あと、比較するのも酷ですが、全編を通して需要名要素である伝統的宗教や祭祀が、「超古代文明の記憶」「まじないをすると不思議な事が起こります」「近代文明に毒されていない素朴な伝統はすばらしい」というありがちなだけの物だけで、富野、宮崎、押井といったクラスの社会学的、民俗学的な深みを感じさせるまでにはいったっていません。

 全話通して結局、航空機と空戦、その他映像的見せ場は大変すばらしいですが、話の方は並の下ぐらいという物でした。

全編通しての評価:60点