名探偵ポワロとマープル エンドハウス怪事件その2

 まず最初に。コカインまでアウトでなくて、よかった、よかった。

 中山忍もアフレコは下手ですが、一応、演技などは出来ていましたので、伊藤美咲よりはまだマシでした。

 『名探偵ホームズ』の再放送を見たせいで、背景などの安っぽさが、露骨に目に付くようになりました。
 特にポワロの事務所。まるで引越し前の新築のごとく、何もない。

 尺が短い事を考えると止むを得ないのですが、視聴者に提示される、それぞれ不審な点がある容疑者の選択肢が、原作の11通りから、三択、それも実質上フレデリカ・ライス一人だけになってしまっています。この時点で、やはり「11人皆が同程度に怪しく見える」「それぞれに思わぬ秘密がある」「その中にまぎれた事件の本筋を探し出す」という原作の面白さを完全に損ねています。
 もし今後、『オリエント急行殺人事件』をやるとしても、この調子なら、容疑者候補はやはりニ、三人程度にされてしまいそうですなあ(映画版で見たなら、こうなると、メイントリックの面白さがぶち壊しな事がおわかりでしょう)。

 やはりこのアニメ版、尺が短い時点で既に、いかにましな敗戦処理をするかという点だけが、見所になってしまっています。
 あと、ポワロが発見した真犯人にいたる手がかりが、原作から変更。原作では、それを見たポワロがさらに推理を働かせる必要があったのに、このアニメ版では、単純にポワロが見たものが視聴者に伏せられているだけ。センスがない。