『トランスフォーマースーパーリンク』は、かなり良かったです。
 副題が「アルファQその正体」とあったので、「アルファQの出自も目的もすでに明かされているのだから、いまさら正体といわれても」と思っていたら、「アルファQの心の正体」という意味でしたか。
 いままで、部下や他人に頼ってばかりで、チームロディマスのレッドアラートにも不愉快がられていたのも、全てここにいたるまでの布石。見事。
 そして、アルファQがキッカーに興味を抱いていた、自身でも自覚していなかった真の理由は、「自分の度胸のなさに発破をかけて欲しかったから」。もう、本当に見事。
 しかしまあ、表向きはアルファQに遠慮していたロディマスも、内心、アルファQの度胸の無さには忸怩たる思いだったのでしょうなあ。で、「キッカーにエネルゴンセイバーで、アルファQをガンガン殴らせる」。うわあ、さすがトランスフォーマーらしい男っぷりだ。

  そしてついに、アルファQ自らユニクロンの頭部とともに出撃。その同盟者であるロディマスも、アルファQの決意を受けて、グランドコンボイと次週激突。以前の「対決二人のコンボイ」で実際には武力対決せず、話し合いだけで終わって「まあ、どちらもサイバトロンのリーダー格だから、対立していてもあくまで話し合いだなあ」と思っていたら、今度は本当に力で対決。たしかに、安易に対決するより、布石をいろいろ置いて、それを展開させて盛り上げてからの方が、ずっと盛り上がる。

 今までの布石が生きているとすれば、ジョーンズ博士。今まで散々キッカーを笑顔でスパルタ教育しておきながら、今回、キッカーが完全に一人で行動するとうろたえだす。そして、今まで視聴者が思っていたことを代弁するかのように、グランドコンボイに批判され、妻にたしなめられる。見事なシリーズ構成。

 ガルバトロン様も、セイバートロン星でのサイバトロンとの和平の反対派の蜂起を聞いて、普通なら味方に加えようとするところを、「いまさら蜂起する連中など役にたたん」と切って捨てる男っぷり。さらに、凶暴さと不服従ぶりに定評のあるレーザーウェーブを、あえて味方に引き入れようとする男っぷり。それでこそガルバトロン様でございます。

 今回登場したレーザーウェーブも、凶暴さ、冷酷さともに充分キャラが立っています。ただ、デザインがほぼ同じだけに、機械的にクールなイメージだった初代レーザーウェーブとの違和感がすごい。同じ極悪非道でも、クールなイメージの方が良かったのでは。まあ、その内慣れるでしょうけど。

 それと、前作では、物語終盤に動き出すまで、何百万年もの間セイバートロン星の衛星に擬態して休眠していたはずのユニクロンが、いったいいつ、ほんの八千年前にセイバートロン星を離れたロディマスと遭遇したのか。時系列が矛盾していると思っていたのですが、トランスフォーマー関係の有名掲示板を見てその疑問が氷解。
 「ユニクロンがアルファQの母星を襲ったのは、おそらく前作最終回の後から今作が始まるまでの間の、10年間の間では」
 たしかに、それなら矛盾は無い。前作でもあくまでも意志細胞を破壊されただけで、本能的な活動能力は健在だったわけですし。


 不満点。

・キッカーなどの作画が変。表情を現すはずの目も変。こういうキッカーをメインにした重大な話で、キッカーの顔や表情がちゃんとかけていないと、困ります
ユニクロンが星を食うシーン。やはり『ザ・ムービー』の同じシーンの印象があると、やはり貧相。製作体制的に無理でしょうけど、それならいっそ、『ザ・ムービー』のフィルムを流用するという反則技とかを、無い物ねだりしてしまいます。
 それと、ユニクロンの作画を細部ディテール無しのトゥーンレンダリングでやるのは、巨大感を無くすだけ。やるなら、「細部ディテールやウェザーリングなど書き込んだテクスチャーを貼る」「空気感をもっと強調」「パースなどををもっと大げさに」とかしてもらわないと、まるで駄目。あるいは、どうせほとんど動かないのだから、星状態や首のみ状態と同じ様に、質感を書き込んだ一枚絵として作画するか。
・本編を見ただけでも一応わかるものの、今回暴動を起こしたデストロンは、あくまで一部の反和平派であることをもっと強調して欲しかった。どうせなら『ビーストウォーズメタルス』のジャガーのように、デストロンの和平継続派からサイバトロンに派遣されてきたエージェントとかも出して欲しいです。まあ、ジャガーはあくまで自派の利己的目的から味方をしていたたけですし、結局裏切りましたけど。