ゾイド ジェネシス 第26話 「霧の河」

 勝手タイトル「ザイリン、釣りをしている間に、ルージに追い抜かれた の巻」
 ああ、組織掌握(失敗)とか戦術とか、存分に描かれていて、見ていて気持ちがいい。
 前回の伏線のとおり、ラ・カンを撤退の算段を考えている臆病者と誤解して、戦果を焦って先走るエレファンダー隊。そこから、統制が取れなくなって、我先に出撃しだす。
 ここで、仮にザイリンに策が読まれていなかったとしても、出撃が早すぎると陽動側に向かっていたディガルド部隊が戻ってきてしまう事が示唆されるのが、芸が細かい。
 ここでもラ・カンは、No2タイプゆえの指導力の弱さを露呈するし(G1サウンドウェーブがトップに立てないし、『THE MOVIE』の立候補乱立シーン以外では立とうともしなかったのも、そういう事でしょう)、かといって、味方内の邪魔者をあえて敗北させて、人員整理と規律の引き締めを意図的に行えるほど、冷徹でも無い。
 ディガルド側は、もう、実に見事なまでの、地形を生かした待ち伏せによる包囲殲滅戦を披露してくれる。
 しかし、ここで、やはりザイリン。ツメがあまい。ダム前にも、自分単機では無く、バイオラプター部隊や、無理をしてでもバイオケントロを引っ張り出していれば、完勝はほぼ確実だったでしょう。このあたり、シナリオの粗にも見えます。ルージの「お前はディガルド討伐軍に負けたんだ」と対比させて、スタンドプレーに走るザイリンと、チームプレイを重視する事を学んだルージというのも、もっと強調していればよかったでしょう。
 ラストのルージの「全滅ではないです」。たしかに苦しい強がりですが、ああいう場面では、無理をしてでも、ああ言い切らないと、集団はまとめられない。

 これで、作画などがよければなあ......
 まあ、作画環境の苦しさを、シナリオで補う、日本のテレビアニメの伝統といえばそれまでですが。