機動戦士フリーダムガンダム(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)

 まず最初に。
 連合の領域真っ只中だったはずの、ベルリンは、いつザフトの勢力圏下になったんだ?

 デストロイの暴虐に関しては、前回ではまるで足りなかった、一般市民や兵士の姿が描かれたので、よし。
 キラたちも、今回のような、戦争として認められる一線の踏み越えた、殺戮に対してのみ介入し、人命救助に尽力するという立場をとっていれば、視聴者に「考えなしのテロリスト集団」といわれることはなかったでしょうに。

 ミネルバ、船自体は問題ないレベルまで修理されているのに、ザクの数機も補充されていないのが、不思議不思議。

 それでもまあ、シンが到着するまでは、暴虐なデストロイに一致団結して挑むヒーローたちという事で、まあ良かったわけですよ。でもまあ、それが、なぜミネルバ隊でいけなかったのか、せめてミネルバ隊と共同戦線にはできなかったのかというという、根本的な問題があるのですけど。シン対ステラにしたいなら、ミネルバ隊の他の面子は、救助活動や、ネオやスティングの相手をさせていればいいわけですし。

 でもまあ、シンが出てくると、今まで散々指摘してきた、ドラマ展開の出来の悪さから、シンのやることことごとくが、理不尽で愚かなわがままに見えて仕方がないこと、ステラが特定の脊髄反射だけで行動しているだけでキャラクターとしての存在感にまるでかけること、相互の心理的つながりがあまり深いように見えないシンとステラが全裸ラブラブ空間を形成しちゃっていることなど、萎えてしまいます。
 今までのドラマ展開の出来の悪さというのは、主に、シンとステラ、その周辺の人物の、人物描写や関係描写を深める事がまるで、できていなかった事。例えば、ステラとネオの関係にしても、「戦えないと用済み扱いで後がない」「同情心と依存心」というのは描いていても、何話分も使えたにも関わらず、それ以上の展開が皆無だった事。シンとステラにしても、せっかくミネルバ艦内病室で一緒に過ごせたのだから、Ζのカミーユとフォウみたいに、お互いの身の上話をしながら関係を深め合うなんて事は充分できたのに、実際には瀕死で朦朧としているステラにシンが一方的に哀れみを感じていたというだけの代物。ステラを挟んでシンとネオの三角関係見たいなあればなおよかったわけですが、そんなものも全然無し。

 まったくもって、駄目な脚本、駄目なシリーズ構成を学ぶための反面教師。

追記
 そういえば今回も、シンの不思議思考炸裂。
 つい、多数のベルリン市民よりステラ一人の命のことに注意を払うのは仕方がないとしても、そのステラ中心に考えている状態で、ネオが約束を破ってステラを戦場に出したのを本人から聞いたのに、目の前にいるネオに対して文句の一つも言わないのが不思議不思議。しかしフリーダムがデストロイを攻撃すると文句を言う。
 少し前も、ハイネの戦死に関して、乱入してきて戦場をかき乱しただけのフリーダム&アークエンジェルには、ハイネの戦死の元凶だと文句を言っていたのに、直接明確な殺意を持って殺したステラに対してはハイネ戦死のことを全く考えていない。ステラをネオのところに戻した後、アスランにようやくそのこと指摘されて、初めて気がついったようで、しかも大して気にしていない様子。