スターシップ・オペレーターズ グレート・エスケープ後編

 前回も言っていた、番組の見せ場のために、見栄えのいいところを取材しながら逃走という話。デモ隊が多い所とかを通って行く程度かと思ったら、わざわざ、軍事基地に突っ込んで行く、信じがたいバカさ。
 それが脱出のために有利になるわけでもないですし、レポーターの無理を聞くほどの信頼がアマテラスクルーにあるわけでもなければ、報道に対する使命感とかがあるわけでもないでしょう?
 番組のプロデューサーの冷酷さを表現したいのかもしれませんが、本来の活動で視聴率を稼げなくなっているならまだしも、それ以外の事で、「商材」を危険に晒すのは、バカでしょう。
 おまけに、シノンたち三人、先週自分たちから積極的に合意して、わざざリスクの高いところに突っ込んで行っているのに、突然「脱出が第一」「民間人の安全は守る」と支離滅裂な事を言い出す。

 活劇的な見せ場としても、脱出のための行動は、ありきたりで大味。

 情報部の娘さんが負傷するシーンも、あまりにもバカなのですけど。なぜ、物陰に隠れて相手を一方的に視認している状況なのに、「突撃銃持った」「完全武装の兵士」「二人に」、わざわざ「一人で」「拳銃一丁」で突っ込んで行く?不意打ちのつもりかもしれませんけど、案の定、数と火力の差で二人目にやられていますし。死亡でドラマチックにやるにしても、それまでのドラマ的段取りが皆無。シノンとのメールのやりとりにしても、「そんなシーンがとりあえずありましたね」ぐらいしか描いていなかったわけで。

 ちなみに以上の展開は、人から聞くと、アニメオリジナルで、原作ではまともに脱出のためのベターな行動を取っているし、情報部の娘さんも死んでいないとの事。
 第二話でやっていた、やはりアニメオリジナルの「戦闘中に必須とも思えない船外活動をしていて、案の定、着弾に巻きこまれて死亡」というのを、さらにグレードアップしたかのような、バカさ。「グレート・エスケープ」のグゥレィト(ディアッカ)は、バカさがグゥレィトなのですね。
 ......人死になどで盛り上げるために、あからさまにバカな行動をキャラクターたちにとらせる、無能作劇、どうにかなりませんか?

 ところで、政治家同士の話も、国や自身の保身を優先するか否かという話ばかりで、政治理念(たとえば、地球依存から脱する事を目指している同盟と地球よりを表明している王国の違いとか、覇権主義で政治的安定を維持できるかとか)を語り合うという事が、ちっとも無いのですね。こういう点でも、アマテラスのクルー連中のやる事に説得力がなくなっていく。

追記

 擁護集に、擁護が掲載されていました。
 情報部の人が完全武装した兵士二人に戦いを挑むシーン、原作では、無重量状態での戦闘訓練をしておらず銃も地上用の地上軍の兵士二人に対し、無重量状態用の射撃技術と銃を持っている情報部の人が攻撃を仕掛けるというシーンだったそうで、無重量状態用の射撃技術の独自のアクションも事細かに描写されていたとの事。原作では情報部の人は右足を負傷したのみで勝利。
 しかし、アニメ版ではただのヤクザの鉄砲玉レベル......