NHKスペシャル ローマ帝国

 予想していた事ですが、薄い&偏っているなあ。
 共和制時代の一番過激な破壊の例であるカルタゴ破壊だけを例にして、拡大期のローマが破壊と略奪と強権支配だけでやってきたように見せたり。カルタゴ破壊の時期が特に武断路線に傾いていただけで、武力と政治的工夫の併用はこの時代からもやっていたのですけど。そこから同盟者戦役(*)で、急に、政治的工夫によって統治を安定させるように路線転換したかのように見せたり。
 しかも、同盟者戦役の次に、いきなりアウグストゥス帝が出てきたかのように見せたり。

 ただ単に忘れているのか、わざとやっているのか、具体的な年数が全然出てこない上に、ごく簡単なレベルの年表すら出てこないのも、こういう、歴史的流れの完全な間違いではないけどおかしな説明に、拍車をかけている。

 一般向けに手短に説明しないといけないにしろ、何とかならないものかと。
 やはり、『そのとき歴史が動いた』『プロジェクトX』並みの薄さ。

 来週のポンペイも、下手すれば、この前の民放のポンペイより薄い内容になりそうだなあ。
http://d.hatena.ne.jp/utumi_k/20040920

*:イタリア半島内のローマ傘下の国々が反乱して、結果としてローマ市民権をイタリア全体に与える事となった、戦役。原因も、長年強権支配されていたからではなく、元々ローマが小国だった時代はそんなに待遇に差のない同盟関係だったのが、ローマの勢力拡大による恩恵が、ローマ(都市国家ローマという意味で)のみに集中して差が大きく広がったため