モンティパイソン ライフ・オブ・ブライアン

 『ローマ人の物語』の『パクスローマナ』を文庫本で再読し終えて、ふと、同時代を舞台にした作品をいろいろ見たくなったので、先日の『シーザーとクレオパトラ』に続いて観賞。
 で、ビデオで見たわけですが、これが吹き替え版。声優はルパン三世のレギュラー陣で、ブライアンがルパンだったりと、そっちの方が気になる始末。

 で、ネタ元のイエスの活動や、当時のローマやユダヤのついての知識は必要十分あるつもりでしたが、あまり笑えませんでした。喜劇風味を効かせた『シーザーとクレオパトラ』の方がずっと笑えました。『モンティパイソン ホーリーグレイル』は多いに笑えたのですけど。ルパンの印象に引きずられたのに加え、吹き替えで、本国向けのギャグの内容が結構変わっているようなので、そのせいかも。
 とはいえ、ひたすら内ゲバと、もったいぶって無駄な議論を延々繰り返す反ローマのユダヤ人組織の描写は、映画上映当時の社会情勢のみならず、今でも普遍的に笑えます。そうすると、伝道師たちの様子とか、ブライアンの特に意味の無い発言に過剰反応する民衆とかも、その辺への皮肉ですか。
 あと、反ローマのユダヤ人がローマ人の悪行を挙げるつもりで、社会インフラの整備やローマの強権による社会の安定などをついつい挙げてしまうあたり、チャーチルが「カエサルの上陸でイギリスの文明は始まった」などという、イギリスらしいシャレのきつさ。
 それと、この映画のローマ兵は、事あるごとに、ローマ式敬礼(今ではナチスの敬礼として有名)で「ハイル シーザー」(この場合のシーザーは多分、皇帝全般の称号)と言う、時代考証的に正しく、なおかつシャレのきつい事をやっています。まあ、戦争終結直ぐに作られた『シーザーとクレオパトラ』でも、普通にやっていましたが。

評価:50点