ブラックジャック

 ヤマピカリャー
 ヤママヤー!

 始まって真っ先に「BJ、沖縄でその格好は暑くないか」という疑問をもったら、その直後に、ピノコが何度もつっこんでいました。

 感想そのものは、『名探偵ポワロとマープル』という酷い出来の物を毎週見せられていたせいもあって、あまり不満を感じず、可も無く不可も無く。
 あえて言うなら、テレビから離れてみる注意などをするのは、ブラックジャックでは無くピノコの方が相応しいでしょう。

 そういえば、秋田書店が、今の作家にブラックジャックを題材にした漫画を書かせていて、まずは、二本を拝見。

週刊少年チャンピオン
 『カオシックルーン』を連載していた山本賢治氏による、鹿のナダレのエピソードのリメイクですが、見るに耐えない代物。グロテスク描写が強化されているだけで、独自性も何もない上に、絵も、コマの運び方も、オリジナルと比べて「下手」。
 ブラックジャックの表情付けも、ひたすら状況や関係者を見下して薄ら笑いをしているだけ。オリジナルのBJもそういう表情も”しばしば”しますが、山本版BJはただ単に表情による内面描写が単調なだけ。
 山本氏には悪いですが、この人、「18禁漫画出身でも、エロより、内蔵とかを書きたいのでは」という面白みはありますが、所詮それだけの人。例えばこの人、酷い性格の悪漢や怪物もいろいろ書いていますが、BJと根を同じくする『奇子』みたいな重く淀んだ人間とその環境、せめぎあい、切なさと哀愁とかは、まず書く実力はない。その程度の筆力では、「独自演出」ではなく、ただの「劣化アレンジ」。
 別の例でいえば、同じアニメの初代ガンダムのストーリーに沿って書かれている、安彦良和氏の『THE ORIGIN』と、近藤和久氏の物を見比べると、近藤氏には悪いですが、近藤氏の方が圧倒的に下手に見えてしまう状態。漫画として全要素が上手い人と、メカを書くのが少々上手いだけの人の決定的差。

ヤングチャンピオン
 青池保子氏による、『エロイカより愛をこめて』とのクロスオーバー。政治犯をめぐって、逮捕しようとするエーベールバッハ少佐と、逮捕前に手術費を取り立てようとするブラックジャックの、ユーモラスな攻防。
 漫画家自体が山本氏より格段に実力が上ですし、無理にシリアスにせず、ブラックジャックのユーモア描写の部分をうまく生かす形で、見せています。

 週刊チャンピオンの方も、どうせなら、『バキ』の板垣氏に、地上最強の医者 鎬紅葉とのクロスオーバーでも書いてもらえば、よっぽど面白いものになるのでは。患者は範馬勇次郎パパに「地上最強の患者」をやってもらって。

 『PLUTO』を含めて比較すると、『PLUTO』100点、青池版55点、山本版10点ぐらいですか。