名探偵ポワロとマープル

 原作の個性を削ぎ落とされて無個性になっているポワロのエピソードより、そうでないマープルのエピソードの方が、まだ面白いです。

 しかし、相変わらず、内容には疑問符がつくもの。
 録画していなかったので確認できないのですけど、被害者がガウンを着ていた事をマープルが指摘した事や、凶器が何であったかなどを、解決編で「あれは、こういうことでした」とマープルが解説していなかったような。

 これだと、待ち針一本で犯人を強引に特定したという、推理というにもおこがましいものにしかならなりません。もっとも、ガウンや凶器の事を含めても、犯人である可能性が高いというだけで、特定までするには、いささか無理があるのですが。

 なんだかこの作品、探偵が手がかりに気付く事があるものの、解決編でそれが何だったのかなぜか説明しない(原作ではしているのに)ことが、よくあります。
 ABC殺人事件編のときも、メイベルがB事件だけ別人がやったのではと言い、ポワロがよい指摘だと言うのですが、解決編ではその意味を説明しないまま。原作では「現時点の容疑者の能力、性格や、B事件でのアリバイを考えると、彼一人で全ての犯行を行ったと言うのには無理がある。かといって、ABC時刻表を置くなどの共通性から別に犯行を行ったものがいるとも考えがたい。容疑者は犯人では無く、彼を偽犯人に仕立てた真犯人が別にいる」と解決編で説明しているのに。

 何度もいっている事ですが、このアニメのスタッフは、とことん駄目です。

 被害者の夫のドラマも、もっと味わい深く演出できそうなものですけど、それもできていませんし。
 残された夫が似たような状態にある、アニメ版『プラネテス』のユーリーのエピソードを見習って欲しいです。たとえば、タナベの役回りをメイベルにさせるだけでも、そうとうドラマの充実度は上がるはずですが。メイベルは、とことん存在意義のないキャラクターです。これと比べると逆に「『プラネテス』は、どこがすぐれているのか」というのも、よくわかります。