ゾイド ジェネシス 第24話 進軍

 基本の積み重ねで、上の域と言えるところまで行っている、今回のゾイドジェネシス
 戦意の高い連中の寄り合い所帯であるゆえに、士気は高いものの、組織だって戦う事を考えないままの、反ディガルド勢力。
 ここで、ラ・カンの弱みも。冷静で利発ではあり、ルージたちと旅をしていた時のように、話のわかる相手とじっくり話し合って優れた結論を出すような事は得意でも、不特定多数の集団を有無を言わさず牽引するような、指導力には欠けている。本来なら組織のナンバー2タイプ。
 ルージが組織だって戦うための訓練をするべきだと指摘するも、この状況がそれを許さないことと、士気の高さを損なわないという判断から、進軍開始。たしかに、どちらの方針が絶対的に有効ともいえないし、状況が選択を許してくれないこともあるという、戦争に限らない、社会の現実を上手く描いている。
 そして、出撃時のロンの「間に合わなかったか」発言。これは、単純に追加の参加者がこなかったという意味なのか、それとも、第三勢力の援助のあてがあったのか。強調はされてはいないが、気にかかる程度には描かれていて、伏線として上手く、「ロンは何者」という軽い疑問による視聴の牽引力の助けになっている。
 お互い、策を読みあう、ラ・カンとザイリン。ただ、ザイリン側は、軍隊としての統制と訓練の行き届いた本格的な軍隊。仮に「操縦能力×ゾイドの戦闘力×数」が両軍とも互角としても、組織戦がでいるかどうかの違いで、ラ・カン側がやはりずっと不利。歴史上の例でいえば、古代ローマカエサルガリア人の戦いのような物で、戦場で先端を開いてすぐの勢いでは有能なガリア人が優勢でも、しばらく戦いつづけると組織だって粘るローマ軍が勝ってしまう。
 あと、ディガルド側も、人間味あるやりとりが描かれる。しかし、ザイリン、作戦立案では優秀でもいいですけど、人付き合いではいつものようにボケてもらわないと、ザイリンが登場していてもザイリン分が足りない。
 敵の偵察の事を持ち出すなどして、統制の利きにくい味方を上手く自分の作戦に乗せようとするラ・カン。おそらくはそのことにまで気が回らず、撤退の可能性を考えているのではとラ・カンに指摘して、素直にやる気にさせなければならないはずの、味方に立ち聞きされてしまう、ルージ。利発ながら経験の少ない少年ゆえの失敗。こういう状況では、内心撤退のプランも考えていても、その事は隠して味方を必死にさせなければならないのに。
 製作者が、ちゃんと話や人物を描けるという上で、弱いや失敗を描くというのは、見ていて気持ちがいいです。

 ラストのゾイド講座。ロンがとうとう串刺しに。これからどんな酷い目にあうのか。