涼宮ハルヒの憂鬱 第9話「サムデイ イン ザ レイン」

 前回もそうでしたが、今回もカメラワークによる演出が多い。一口で言うと「キョンが一人さみしく出かけている間、部室ではどのような日常が過ごされているかを観察」。
 部室を、ロングの全体俯瞰視点で映していて、それが複数設置されて固定された監視カメラのように視点が切り替わるカットが多いのは客観による観察視点とわかります。
 しかし、まるで本棚にカメラが仕掛けてあるかのような視点もあるのは何かと思ったら......ああなるほど、視聴者の視点になっているカメラ位置という想定で、しかもみくるの着替え時には(仮想の)カメラを長門が塞ぐという演出のためですか。
 それを考えるとBパートで長門の読書を長々映し、外の雑音を入れているのは、監視カメラ的視点の再現演出。まあさすがに長すぎるのではとも思いますが。
 一方キョンの方は一人往復していて、しかも天候は悪く(疲れる状況提示と、映像的にも陰鬱な感じを演出)、疲労や寒さを感じて早く部室に戻って落ち着きたいと考える......というように部室から阻害された状況や心境を演出。
 そうして「キョンが寝ている間にハルヒ上着を被せていた」「ハルヒキョンが二人で相傘で帰る」という”一人ではない”ラストにつながる。

追記

 ラストの上着が二枚着せてある件。視聴者視点では「長門では?」と推測できても、視聴者視点のカメラはそれを映さないし、キョンにいたってはみくると思って全く気がついていない。ハルヒ以上に行為の表現が下手(というかわざわざ見せる意思自体がない?)な長門も描写している。

うたわれるもの 第9話 「その名は東方不敗! ニウェ皇見参」「禁忌」

 以前からの不満は、敵側が馬鹿で下劣だったり、主人公側に都合のいい行動をとってくれたりといったことでしたが、国外からの敵との戦いになって、ようやく強くて貫禄のある敵になった。
 どれぐらい貫禄があるかというと声が東方不敗@秋元羊介氏。でもってハクオロの低姿勢の意図を正確に見抜いて興味を持つ利発さと余裕、手際よく侵攻を仕掛ける判断の早さ、ハクオロとの直接対決出の合理性*1を蹴飛ばしたようなケレン味ぶりなど。
 ハクオロの方は、謎の素性に由来するらしき爆薬の知識を、単純な攻撃に使うのではなく、相手側の行動を誘導して兵站を一箇所に集めてそこに仕掛けるという知略ぶり。爆薬の使用はこの世界の薬師では禁忌とされていながらそれを使わざるをえないし、その事以外にもそもそも敵兵とはいえ多くを殺す事をしなければならない王としての立場の苦しさ、それをアルルゥとエルルゥには見せたくないハクオロと、それを直視しようとするアルルゥ
 余談ながら、爆薬による火災のさらに後、敵兵へさらに苛烈に攻撃している事について。ドラマ的には戦いとはそこまで非情に徹しなければならないという事。現実的な戦術としても追撃の徹底は理にかなっている。

*1:火災の真っ只中今までどこにいたのか?など